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 入れ歯を入れる不安

総入れ歯を入れると聞いて、すごく不安です。
皆さん同じ気持ちでしょうか?
不安のもとはいろいろなんですね・・・
ここでは年齢が引き起こす不安をもとに書いてあります。
あなたが 若年、熟年、高齢者などで その不安の形も変化します。 

 歯がなくなることへの不安

 総入れ歯を入れるにあたり(一本でも)歯が残っている状態の顎に、入れていた義歯は、部分床義歯といいます。
まがりなりにも、入れ歯を入れる位置を決める目印の歯がありました。
ところが今度は自分の歯が一本もない。
何とも言い得ぬ不安に駆られるのは当然でしょう。
それまでに聴こえてきた周囲の声は
「食べ物が噛めない。」「しゃべれない。」などなど、不安を駆り立てる言葉ばかり。
それまでの無くなってきた過程にもよりますが、不安が無いと言えば嘘になるでしょう。
時には、歯槽膿漏だからと一気に5〜6本の歯を抜いて、一瞬にして「総入れ歯」の対象になる人もいるでしょう。

 この西山吉太郎さんの詩からは、74歳になられて始めて1本の歯が抜けたのか、
最後の1本が抜けたのか分かりません。
しかし長い人生で、歯から受けてきた恩恵に、限りない尊敬の念をお持ちの様子が
感じられる詩だと思います。
同時に抜け落ちる時に感じた哀切の念も、にじみでています。
無限と思われた歯もついに力つきた。産まれ出たときから、壮年期に至る、
たくましい体と、歯の力が、脳裏に重ね合わさっていただろうことは想像に難く
ありません。
健康の象徴であった歯が、抜けた

ボデイ イメージ 
 歯を次々と喪失していくと誰でも不安になります。本来歯があったときに培(つちか)われたBODY-IMAGEがあるからです。
それは、機能的にも心理的にも審美的にも、若さの象徴でした。
歯が欠け始めると、十分な咀嚼が出来ないことから、栄養摂取から健康への不安が生じます。
容貌の面でも老けてみえ、不安感が加速されます。
総入れ歯に至るまでに、部分床義歯を経験するわけですが、それ等によって補ぎなわれた時の安心感を忘れたわけではありません。それと同時に味わった苦痛も忘れることができないと思います。
自分の歯と違って、格段に機能が劣ります。
それは入れ歯の歯(人工歯)の数が、多くなればなるほど、徐々に劣っていったと思います。
取り外しの際の不便。口の中の違和感。不潔になる。容貌の老化現象。会話時の不自然さ。
それが、総入れ歯になるとなれば、不安の極に達し、時には入れ歯ノイローゼと呼ばれる状態にも陥ることがあるわけです。
不安の程度は本人の性格、体質 要因、環境などでいろいろですが、ほとんどの人が不安を抱くはずです。
しかし、それまでの義歯経験から、総入れ歯の装着に期待を抱く人も沢山います。
より若返って見える。もっと噛めるようになるなどです。
入れる直前の不安感は 以上のように一般的なものです。 
いざ装着が始まるとより一層不安感が増幅されます。
それが不適合義歯(合わない入れ歯)の場合、術前の不安が現実のモノとなって義歯に関心が集中し、
複雑な心理は拒否反応へと変化します。ついには、”義歯ノイローゼでは?”と言われる場合もあります。

壮年者、熟年者の場合(高齢者の心理とはいささか違う)

下図は厚生省の歯科疾患調査による28歯喪失者の年代別構成比を現わしています。
調査では智歯を4本省いていますが、限りなく無歯顎に近いとみてよいでしょう。
調査年によって僅かな違いがありますが、おおよそ似通ったパーセントをしめしています。
男女別では女性の方が多くなっています。
70歳台をピークに、前後10歳をすそ野とした範囲に集中してきます。
60歳から80歳、これはいわゆる高齢者年齢(65歳以上をを高齢者の定義としている)に一致しており、
総入れ歯の問題が間違いなく、高齢者 抱き合わせの問題として
語られねばならないことを示していると言えましょう。
また、40歳台から早くも無歯顎(歯がない)者が現れることに驚きます。
これらの年齢層(熟年)には高齢者と多少異なった対応をすべきでしょう。
身体的老化という観点からは、高齢者には属さないからです。 


高齢者の特殊性

 高齢者の場合には、特別に考慮する事があります。
一般的な病気の場合でも、高齢者には多くの特異点があることが知られています。
高齢者の半数は何らかの病気になっているのです。
義歯そのものは基本的には変わりませんが、患者が全身的疾患にかかっていたり、生理、病理面でも、
心理面でも外部からの要因に極端に反応することが多いのです。
もしも(あなたが)家族から頑固者呼ばわりされ始めたら、自分の理解している感覚より、
思いの他不安心理を持ち始めているとみて良いでしょう。
高血圧、心筋梗塞、狭心症、多くの心不全など既往歴のある場合は診療中に突発事故になることもあります。
甲状腺機能障害、副腎皮質ホルモンの投与者など重篤なショック状態になることも考えられます。
‘入れ歯に既往症が必要か’(診断の項参照)の項も参考にして下さい。術前申告の重要さを考慮すべきです。
口腔内に限れば、高齢者になればなるほど、義歯補綴の条件は悪化します。
加えて不安心理も増幅される事が考えられます。
顎骨の吸収が大きくなり、粘膜の弾力性が減退する、筋肉組織の運動が鈍る、顎の関節がゆるくなる
、唾液の分泌が少なくなり乾燥する、口腔内の僅かな傷に対しても治癒率が低くなるなど、
若いときに比べ非生命力化の傾向が強くなります。

壮年期の特殊性

 また、壮年、熟年者が「総入れ歯」になる時には、違った意味での不安があることも事実です。
もう一つグラフを見て頂きたいのですが知力、体力、社会性などを表わしたグラフです。
これらの要素が年齢推移に一致せず、年齢だけが、杓子定規に全ての基本になるとは言えません。
体力を必要とするこれらの年齢層では、食べ物の種類も高齢者とは違うことも考えねばなりません。
容貌にたいする関心度も違うと考えられます。
社会生活での他人との接点が多いことから、その清潔度への関心もあるでしょう。
「総入れ歯」の装着が父権の失墜につながることもあります。
父親の下着と一緒の洗濯槽はご遠慮しますと、割り箸で父親のパンツを取り除く世相です。
熟年者も高齢者も「総入れ歯」がまき散らす不安の種にはこと欠きません。
多くの不安があって当たり前です。そんなに不安なら「総入歯」なんか入れない方がいいのでは、とお考えかもしれません。
しかし、つぎの文章をみてください。
{学会誌によると 高齢者に対する補綴処置で、咀嚼機能と身体・精神活動に付いての調査で、義歯を使用している者は、使用していない者に比べ、痴呆の程度、非握力、手指巧緻性等で、有意に高いスコアを得、咀嚼機能が高い者は、他の機能も高いことが報告された。}
これは平たく言えば、義歯を入れて噛むことで頭脳、身体ともに
老化が遅れると考えられます。
「総入れ歯」の未装着は時には顎関節症の引き金になったり
痴呆の早期化や多くの全身症状の元凶となります。
機能面、心理面などから不安感を取り除き、幸せな入れ歯人生を送って下さい。
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